【長期譲渡】はお正月を6回迎えてから

個人の方が「長期譲渡」か「短期譲渡」か迷ったときは…

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不動産売却時に個人の方が「長期」か「短期」か悩んだ場合

 個人の方が不動産を売却する時に気になることの一つとして,「長期譲渡になるのか短期譲渡になるのか」で異なる税率が挙げられます。

 この長期譲渡か短期譲渡かの数え方,基準となる「取得してから5年を超える」目にした際に勘違いのポイントがあるのでご注意ください。

【要点まとめ】 長期譲渡か短期譲渡か

【 個人が不動産を売却するときに短期か長期かを判断する場合 】
  • 売却する不動産を取得して「お正月を6回迎えた」ら長期です。
  • 売却する不動産が相続したものの場合,被相続人(亡くなられた親など)の所有期間も合算できます。

【実例FAQ】 これって短期譲渡?長期譲渡?

 個人所有の不動産売却等のご相談時,しばしば「短期譲渡か?長期譲渡か?」わからなくなる場合があります。

 そのような時には,「取得してからお正月は何回経ってますか?」と単純化して確認をしています。

 (この「取得」についても,「いつが取得の日か?」という論点はあるのですが…。)

 不動産取引の現場やご相談の中で「これは短期譲渡?長期譲渡?」というよくあるお話をまとめました。

 ※ご自分でよく調べられたりされる方ほど勘違いをされていたりすることがあるので,念のためご確認を。

ありがちな間違え

お客様は5年前の8月に買ってるので,5年経った今年の9月以降は長期譲渡の税率です!

(2023年5月現在)「マンション価格も上がっているので,2018年の3月に購入したマンションの一室を売却しようと考えています。2000万円程度の利益が出ると思いますが,5年経っているので税率は長期譲渡で考えればよいですよね?」

まだ,短期譲渡です。

お正月を6回迎えた2024年から長期譲渡となります。

※本当に多いお話ですのでお気を付けください。

(2023年5月現在)「昨年,亡くなった父から相続した不動産を売却したいのですが,利益が出た場合には短期譲渡の事例で考えればよいのでしょうか?」

お父様がその不動産を取得した時期により,短期譲渡になるか長期譲渡になるか異なります。

「法人名義で3年前に購入した不動産を売却したい。利益が出る予定だが短期譲渡になってしまうのか?」

法人の場合,短期譲渡や長期譲渡ではなく,法人のすべての損益を合算した上で税額が計算されます。

【詳しく】短期譲渡か長期譲渡か

短期譲渡のケースに該当するのか長期譲渡のケースに該当するのか,詳しくご説明します。

時間の経過によって下がる税率

いま売ると短期譲渡?長期譲渡?

 不動産価格が上昇している昨今,都市部不動産においては,売却した際に「売却益がたっぷりとある」という不動産取引は珍しいことではありません。

 個人の方が不動産を売却して利益が出た場合には,その売却益の額に対して「所得税」や「住民税」などの税金が課税されます。

 このとき課税される税金については,売却した不動産を所有していた期間によって「長期譲渡」か「短期譲渡」かで税率が大きく変わります。

短期譲渡の税率と長期譲渡の税率

所得の区分長期譲渡所得短期譲渡所得
所有期間5年超5年以下
税率 ※復興特別所得税相当を含む20.315%
所得税:15.315%
住民税:5%
39.63%
所得税:30.63%
住民税:9%

 単純に言って,税率が20%と40%との差は大きいですよね。

 単純化した場合,1000万円の譲渡益であれば,納める税金が200万円か400万円かの違いとなって表れてきます。

確認すべきは「取得してから正月を6回迎えた」かどうか

 さて,この不動産を譲渡した場合の「長期」と「短期」の違いは,「所有期間が5年以下」か「5年を超えるか」で判断するのですが,この「5年を超える」の文言の部分で勘違いからの大失敗をやってしまいがちです。

 というのも,この5年を超えたかどうかの基準は,「不動産を譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年以下か、5年を超えるているのか」で判断するのです。

 (なんだか,とてもわかりにくい表現ですよね…。)

 具体的には,2017年の5月1日に購入取得した不動産は,2022年5月2日に5年を超えた長期譲渡とはなりません…。

 したがって,「5年を超える」というよりも不動産を「取得してからお正月を6回迎えたか?」で確認した方が間違えは起きにくいと思います。

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