【相続した空き家が火災保険に加入しにくい】問題と対策
知っていますか? 「空き家と火災保険の問題」を
空き家となった実家を相続した方が直面する【空き家と火災保険】の問題と対策について,まとめてみました。
知っていましたか?【空き家は火災保険に加入しにくい】ということを。

【始まり】「実家の火災保険どうなっていたかな‥」
実家を相続したあと「とりあえずそのままにしておこう」と考えている方は多いのではないでしょうか。
しかし,相続後にそのままにしておくと問題になるのが火災保険です。
◆火災保険の契約は相続に伴い名義変更が必要
相続が発生し実家の所有者が変更になった場合は,火災保険の契約者・被保険者の変更が必要です。
「相続の登記の義務化」については以前より各所で周知がなされていたこともあり知る人が多くなりましたが,同じように火災保険の名義も相続に伴い名義変更が必要ということはあまり知られておりません。
◆台風・大雨の被害や火災の報道を見て気が付くことが多い
「相続した家(空き家)の火災保険はどうなっていたか?」と考えるのは,近年甚大な災害になることが多い台風や豪雨の被害を目にしてから,あるいは有名人宅や年末の火災の報道を耳にしてから「そういえば相続した家の…」となる場合が多いようです。
◆「えっ?なんで火災保険に入れないの?」というお話に…
そして空き家となった実家の火災保険について確認するときに,空き家は簡単には火災保険に加入できないと聞き「えっ?火災保険に入れないの?」というお話になります。
【問題】火災保険に加入できない場合はどうなる?
では,相続した「空き家が火災保険に加入できない」という場合はどのような問題が考えられるでしょうか?
火災保険に加入できない場合の問題点
- 火災・落雷・風災などの災害時に全額自己負担
- 空き巣などの盗難被害の際に補償が受けられない
- 水災などの災害時に補償が受けられない
- 地震保険に加入できない

(1)火災・落雷・風災などの被害は全額が自己負担
火災保険に加入していない場合は,漏電による火災・空き家に対する放火・周辺からのもらい火などによる火災の場合に補償を受けられずに自費で修繕することとなります。
また,近年強さが増している台風や竜巻等の風災による損害等も同様に自費で修繕することとなります。
ここで空き家の場合に気を付けなければならないのは,日々の居住をしていないために維持・管理に手が回っていないことが多く,災害の際は被害が拡大しやすい点が挙げられます。
(2)空き巣などの盗難被害の際に補償が受けられない
「盗難は関係ない。空き家なので何も大切なものは置いていない」という方も多いかもしれません。
しかし,空き巣が家屋に入るために割った窓ガラス・玄関や室内物色中に破損した建具等は,盗難被害付きの火災保険に加入していれば,補償の対象となる場合があります。
※盗難被害は火災保険契約のオプションの場合が多い。
(3)水災の際に補償が受けられない
近年激甚化することの多い豪雨による水害の際など,火災保険に水災のオプションを付けておけば補償が受けられる場合があります。しかし,これも火災保険に加入できなければ自費で修繕することとなります。
※水災も火災保険契約のオプションの場合が多い。
(4)地震保険に加入できない
知っていますか?地震保険は火災保険とセットでなければ加入できません。
なお,地震保険は「地震で完全に家屋が倒壊しなければ補償されない」と思っている方もいますが,実際は柱・基礎・屋根や外壁などの主要構造部の損害の程度を判定して,保険金(受け取るお金)が支払われます。
※地震保険も火災保険のオプションとなります。
◆空き家が火災保険に加入しにくい理由
火災保険の引き受け手となる保険会社の側から考えた場合,次のようなことが挙げられるのではないでしょうか?
・空き家となり誰も住まなくなった家,とりわけ木造家屋などはあっという間に老朽化していき,老朽化した家屋は災害時に被害が拡大しやすい。
・人が居住していない家は,災害時の予防・応急措置などが行われにくいので被害が拡大しやすい。
・居住していない家は災害の発生時点が不明確になりやすい
【対策】「火災保険に加入しにくい」場合どのような対策がある?
「空き家が火災保険が加入しにくい場合」はどのような対策を考えればよいでしょうか?
空き家が火災保険に加入しにくい場合の対策
- すべて承知の上で火災保険に加入しない
- 「一般物件」として火災保険に加入する
- 空き家で加入できる保険会社を探す
- 自分が居住用として利用する
- 賃貸物件や民泊等の宿泊施設として利用・活用する
- その他(火災保険と関係がなくなってしまう選択肢)
(1)すべてを承知の上で火災保険には加入しない
すべてのリスクを承知の上で「火災保険に加入しない」という対策(?)はあります。
実際に「建物が古くて価値がない」「災害でなにかあった場合には手元資金でなんとかする」「朽ち果ててもいい」などの理由で,選択される方もいらっしゃいます。
(都市部のように住宅が密集しておらず,周辺に隣家などがない環境の地域では決して否定はできないのではないでしょうか。)
※ただし,管理などなされず,保安上の危険がある状態・衛生上の有害となる恐れがある状態あるいは著しく景観を損なっている状態などの場合には,空き家対策の推進に関する特別措置法に基づく「特定空家」と市町村に認定される場合がありますのでご注意ください。
(2)「一般物件」として火災保険に加入する
じつは,上記の「空き家は火災保険に加入しにくい」というのは居住用の「住宅物件」としてのお話しです。
空き家を居住用の「住宅物件」ではなく,事務所や店舗などのような「一般物件」として火災保険に加入するという対策はあります。
【火災保険の分類:住宅物件と一般物件について】
| 住宅物件 | 一般物件 |
| ・住居のみに使用している建物 | ・事務所や寮,店舗等に使用されている建物 |
ただし,「一般物件」の場合は火災保険の保険料は高くなる傾向にありますので,詳しくは各保険会社にご確認ください。
(3)空き家状態で加入できる保険会社を探す
「空き家でも加入できる火災保険」も全くないようでもないようです。
ただし,保険料(お支払する費用)や条件など必ず保険会社にご確認ください。
(4)自らが居住用として利用する
もちろんご自分が居住用として利用する場合には「住宅物件」となり,住宅用の火災保険は加入できます。「しばらくしたら住もうかな」と考えている方も多いのではないでしょうか。
※また,このケースの「空き家状態で火災保険に加入できるかどうか」は各保険会社に必ずご確認ください。あるいは「セカンドハウスや別荘などで火災保険に加入できるかどうか」も同様にご確認ください。
(5)賃貸物件や民泊等の宿泊施設として利用・活用する
需要が見込めるエリアの場合,賃貸住宅としてあるいは民泊等の宿泊施設として空き家を利用・活用することも対策の一つではないでしょうか。
なお,この場合のように空き家を賃貸物件として貸し出す場合は賃貸住宅向けの火災保険に加入することとなります。また,宿泊施設として利用する場合にはそれらの火災保険に加入することとなります。
(6)その他(火災保険のお話ではなくなってしまう選択肢)
空き家と火災保険の問題の対策として関係がなくなってしまいますが,「いつまでも空き家としてはいられない」「活用等も考えられない」「住もうと思っていたが住まない」などの場合は,「解体更地にする」「売却する」などが対策となってきます。
【実例FAQ】空き家と火災保険の問題で実務でよくあるお話
空き家と火災保険の問題に関連した実務でよくあるお話しを記載します。
すべてが実例ですので解決のヒントが見つかる場合はあるかもしれません。
※FAQ内は「相続した空き家と火災保険」ではなく,「空き家と火災保険」のお話も関連して記載されています。また,本FAQ内はお問合せ等により適時加筆修正しております。
【空き家と火災保険の問題】に関連してよくあるお話し
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「…別荘は火災保険に加入できないのでしょうか?」
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別荘など季節的に住居として利用され,家財が備え付けられている建物については住宅物件として火災保険に加入できる場合があります。
※詳しくは各保険会社にご確認ください。
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「…転勤等の理由で一時的に空き家になっている場合」はどうなのでしょうか?
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住居のみに使用している場合は,住宅物件として火災保険に加入できるのではないでしょうか。
※詳しくは各保険会社に必ずご確認ください。
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一般物件の場合は地震保険に加入できますか?
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一般物件は地震保険に加入できないのではないでしょうか。
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亡くなった父母(被相続人)が火災保険に加入していたのでそののままにしておけば,火災保険は継続できるのではないのでしょうか?
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保険会社へは相続があった事実をお伝えしなければなりません。
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相続した実家(空き家)の火災保険を選ぶならどうしますか?
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各保険会社により「火災保険の加入が可能か?」などの条件が異なります。必ず保険会社にご確認ください。
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空き家と言っても,区分マンションと木造の戸建で考え方は変わりませんか?
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おっしゃるとおりです。築年数や立地環境にもよりますが区分マンションと木造の戸建では災害に対するリスクは異なりそうですね(事実,火災保険料が違います)
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「最近聞く民泊をやってみるというのはどう?」
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民泊などは用途地域など民泊施設を営業できるエリアなどがありますのでご注意ください。
この記事を読んで気づいたら早めにご確認を!
火災保険はもしもの時に守ってくれる大切な備えです。
もし,このブログを読まれて【空き家と火災保険の問題】について気づいた方は,早めに保険会社にご確認をされてください。
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