「手付金は本当に戻ってくる?」 【手付】と【手付解除】について正確に知りたい場合はココ!
手付(手付金)と手付解除について
「手付を打って抑えた」「手付倍返し」など,不動産の売買において手付(手付金)という用語はよく使われます。
「手付については理解している」という方は多いかもしれません。
しかし,契約の直前になると「手付金は本当に戻ってくる?」「受け取った手付金はどういう場合に返さなければいけないの?」「どういう場合に手付解除ができる?」など,手付(手付金)についての質問が多いのも事実です。
実務でよくある質問とともに手付(手付金)と手付解除についてまとめてみました。
要点まとめ:手付(手付金)と手付解除
時間がない人はここだけチェック!
- 「手付金が返金されない」場合・・・手付解除の場合だけ
- 手付解除とは・・・売買契約成立後に「買うのをやめる」「売るのをやめる」と手付金額分を相手方に支払って行う一方的な解除
- 手付解除をできる期限・・・通常は売買契約で①「何年何月何日まで」など定めた期日までまたは②契約の相手方が履行に着手したときまで
- 手付金の相場・・・売買代金の5~10%が多い
- 手付解除は数種類ある解除の一つ・・・売買契約の約定と民法等の法で定められた各種の解除がある
FAQ:実務でよくある手付(手付金)と手付解除についての質問と答え
とても質問が多いテーマです。
手付(手付金)や手付解除については知っていても,売買契約の直前になると不安になる方(特に買主側)が多いのではないでしょうか?
実務でよくある手付(手付金)や手付解除についての質問とその答えを記載します。
実務である?:「10万円返せません…?」

契約しないのならば申込金の10万円は返金できません!

(手付ではないので返金をしないとダメでしょ…)
(昔はしばしばあった話のようですが…)
手付金の返金に関する質問
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不動産屋に「物件をおさえておくため」「予約のため」と告げられ,申込金(あるいは申込証拠金や予約金など)として10万円を支払いました。
この支払った申込金(あるいは申込証拠金・予約金)は手付金ですか? -
申込金(あるいは申込証拠金・予約金)と手付金は異なります。
手付金は売買契約の後に売主に渡す金銭です。
申込金(申込証拠金・予約金)は申込の証拠や予約などの名目で契約の前に渡す金銭です。
両者の違いは契約を結んだかどうかです。
(申込金の名目のものは契約を結んでいないため,返還されるのではないでしょうか。)
なお,手付金については後述する手付解除の場合は返還されません。
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住宅ローンを利用して住宅を購入しようと考えています。
銀行の住宅ローンの融資許可が下りなかった場合,売主に支払った手付金は返ってこないですか? -
売買契約に「住宅ローンの許可が得られなかったら売買契約を解除する」という内容の融資利用による解除の条項(通称ローン特約)を設けてあれば手付解除ではないので手付金は戻ってきます。
-
「売主は手付倍返し」と聞きます。
手付倍返しとは,「具体的には手付金を1千万円受け取った場合,受け取った手付金の1千万円を返した上で2千万円,都合3千万円を買主に支払う」という意味ですか?
(売主側からの手付解除パターン) -
いいえ。
受け取った手付1千万円とともに,手付解除をするための手付の同額1千万円を加えて,都合2千万円を買主に渡す…という意味です。
(手付倍返しという言葉はわかりにくいですよね)
手付・手付解除についての質問
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手付解除とはどのような解除ですか?
その他の解除と違いますか? -
不動産の売買契約を行った後に,買主が「買うのをやめる」あるいは売主が「売るのをやめる」という解除が手付解除です。
この手付解除の場合が,買主が交付した手付金が返金されないあるいは売主は受領した手付金の倍額を買主に支払う(いわゆる手付倍返しをする)こととなります。
手付解除は,その他の解除,例えば危険負担の解除・債務不履行による解除・契約不適合責任による解除・融資条件付解除・建築条件付き解除などとは異なります。
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手付と手付金の違いは何ですか? 同じですか?
-
不動産売買の実務では同じ意味で使われます。
厳密に言えば異なります。
(この先は教室事例のようなお話です。時間がない方はスルーして問題なし。)
手付は民法等の法律の用語です。
手付金は金銭に注目した用語です。
具体例を見てみましょう。
手付や手付金の用語は不動産の実務では次のように使われます。
・「手付金はいくらにしますか?」
・「手付解除の期限は3月15日までです。」
・「住宅ローンの許可が下りなければ手付金は返金されます」
・「手付を打って契約をした(物件を抑えた)」
※正確に言えば手付は「金銭その他の有価物」ですが…不動産売買の場合は手付は金銭が99%以上利用されているのではないでしょうか。
-
手付解除はいつまでできますか?
-
売買契約で定めた内容(約定)によります。
通常の売買契約では下記の「(1)(2)のどちらか早い方まで」のように定められていることが多いのではないでしょうか。
(1)売買契約の「何日後まで」や「何月何日まで」などの指定した期日まで
(2)売買契約の相手方が履行に着手するまで
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手付解除ができなくなる「相手方が履行に着手」とはどのような場合ですか?
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買主が手付解除をする場合には売主が引渡し債務,売主が手付解除する場合には買主が残代金支払い債務の実行に着手することです。
具体的には次のようなものがあります。
・売主買主が売買契約後農地転用の許可申請を役所に提出した・売主が立ち退き前提の売買契約で売主が移転先の物件の改装工事に着手した時
例えば,「売主が建物を解体して更地の土地を引き渡す」という内容の売買契約で,売買契約後,売主が建物を解体した後に,買主が「ほかに良い物件が見つかったので手付解除します」という主張が通るかどうか?を考えていただければ想像しやすいのではないでしょうか。
手付金の相場や支払い方法についての質問
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手付金の相場はいくらくらいですか?
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不動産の売買代金の5%~10%が多いのではないでしょうか。
ただし,相談や交渉により定まることが多いので,現にお話をされている不動産会社様にお尋ねください。
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手付金はいつ支払いますか? また,現金ですか振込ですか?
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この二点は一概には言えません。
売買契約の不動産価額や信頼度,地域性もあるのではないでしょうか。また,今後は電子契約の浸透とも関わってくると感じています。
現にお話をされている不動産業者様にご相談ください。
なお,傾向としては次のようになるのではないでしょうか?<手付の支払時期>
・原則として売買契約日当日の重要事項説明→売買契約と同時に手付金を現金or振込で支払い。
・ただし,重要事項説明や契約書類のやり取りを通じて,売買契約前日までに手付金を振込も多い
<現金か振込か>
・売買物件が高額になるにつれ振込が多い傾向
・ネットバンクによる着金確認の短縮もある
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手付の金額が少ない売買契約は何か問題ありますか?
-
問題は無いですが,手付金額が少ない場合は手付解除を行いやすいのは事実です。
例えば1億円のマンションの売買契約で手付金が10万円であった場合には,10万円を放棄することで手付解除ができることとなります。
この点をどう考えるか…?というお話になるのではないでしょうか。
手付金と頭金・違約金などとの違い
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手付金と違約金は何が違うのですか?
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手付金は売買契約の証しです。また,通常は売買代金の一部に充てられます。
違約金は,原則として売買契約を行った後に損害が生じた際などの損害賠償額の予定です。
-
頭金と手付金の違いは何ですか?
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頭金(あたまきん)は不動産を購入する際の自己資金のことを言います。
手付金は売買契約に際して売主に交付する金銭です。

詳しく:手付(手付金)と手付解除について
手付(手付金)と手付解除について詳しく説明します。
手付(手付金)とは
手付とは,売買契約の証として買主から売主へ交付される金銭その他有価物です。
不動産の売買契約では,多くの手付が金銭で交付され,証約手付であり,解約手付であるという場合が多いのではないでしょうか。
(なお,日本の民法では手付は売買の場合で定められており,賃貸借の場合では手付というものは存在しません。賃貸借契約で「手付金として何万円を…」と聞いたら少しだけ用心した方が良いかもしれません。)
手付金の額や相場は…?
手付金の額や相場など
- 手付金の額は自由に定めることができる
- 実務では手付金の額は売買代金の5~10%が多い
- 手付金が少ない場合は手付解除を行いやすい
手付金は売買代金の5~10%の額が多いです。
売買契約の内容で自由に定めることができるので,契約前の申込の段階で相談をして決まります。
なお,手付が解約手付であり,手付の金額が少ない場合には手付解除を行いやすくなります。
例えば,1億円のマンション売買契約の手付金が10万円であった場合,買主・売主ともに10万円の損失で「この売買契約はやめにしましょう」と手付解除を行うことができます。
売主が宅地建物取引業者の場合
- 手付金は売買代金の20%を超えてはならない
売主が一般の方ではなく,宅地建物取引業者(免許の有る不動産業者)の場合には手付金の上限額は売買代金の20%を超えてはならないと定められています。(宅地建物取引業法39条1項)
「売主が宅地建物取引業者の場合」とは,具体的には下記のようなケースが多くなります。
- リノベーションされた中古マンションの売買
- 新築マンションの売買
- 建売住宅の売買
- 新しい分譲地の土地の売買
具体的には,売主が宅地建物取引業者の建売住宅の売買契約で,売買契約時点で上棟しているという理由で「売買契約時に手付で30%を支払い,完成時引渡し時に残代金の70%を支払う」などの契約は宅地建物取引業法違反となります。
手付の支払い方法や時期について
手付の支払い方法や時期
- 原則は売買契約日に買主が現金で交付
- ただし,需要の多寡・手付金額・契約日の事情・地域性など,契約ごとに異なる
原則は,売買契約の当日に売主買主が集り売買契約と同時に買主が売主に手付を現金で支払います。
しかし,つぎのような事情も考慮され,昨今では様々な場合があります。
- 売買代金が高額なため手付金も数千万円と高額。買主売主双方が振込を希望
- 売買契約日が土日休日(住宅用の不動産売買に多い)のため,手付金の交付日を金曜日あるいは月曜日にする(契約成立日は手付金の交付日などの特約条項を付ける)
- 電子契約で事前に契約書類の確認を済ませており,持ち回りの契約日に手付金の振込を行う。
売買契約対象の不動産の需要の多寡,売主買主が法人か個人か,電子契約やネットバンクについての普及度,外国の方・海外居住の方が多いかなど,地域性の要因などもあり,手付の支払額はもとより不動産売買契約の内容については本当にケースバイケースではないでしょうか?
まずは,現にご相談されている不動産会社様にご確認ください。
手付解除について
手付解除とは
- 売買契約の後に一方的に「やめます」という解除
- 買主は契約時に売主に交付した手付金を放棄する(返金されない)
- 売主は契約時に受け取った手付金+手付金の同額を買主に支払う
- その他の理由の解除の場合は手付解除とは関係がない
手付解除とは,売買契約の後に,買主は手付金を放棄してあるいは売主は契約時に受け取った手付金の倍額を買主に支払い,売買契約を一方的に解除することです。
解除をする理由は様々です。
売主側からは「他に高く買う人が見つかったから」,買主側からは「他に良い物件が見つかったから」など理由は自由です。
なお,買主側から見た場合に「手付金が返ってこない」という解除は,この手付解除の場合と買主の契約違反による解除の場合です。
手付解除のやり方(?)
「売買契約上の手付解除ができる指定期日前」で「相手方が履行に着手してない場合」に,買主は手付金を放棄・売主は手付金額の倍額を提供して「手付解除します」と意思表示します。
手付解除はいつまでできるのか?

「いつまで手付解除ができるか?」は,下記のようになります。
・まずは売買契約で具体的に定められた内容
・契約書に何も定められずに手付が交付され売買した場合には民法(昭和の頃の手書きで1枚紙のものなどは何も書いてないことがありますがレアケースではないでしょうか…?)。
多くは上の図のように①契約で定めた手付解除ができる期日まで,または②契約の相手方(買主が手付解除したい場合は売主・売主が手付解除したい場合は買主)が履行に着手するまでと定められます。
「履行に着手」の具体的時期
実際に「履行に着手」にあたるかどうかは,行為の内容や債務の内容,履行期が定められた趣旨・目的などから総合的に判断されますが,次のような場合は「履行に着手」とされた判例があります。
売主が履行に着手 = 買主は手付解除ができなくなる
次のような場合は「履行に着手」とされた判例があります。
- 売主が売買物件の抵当権を抹消するために金融機関の借入金を全額返済したとき
- 売主の立ち退きが条件の中古住宅の売買で売主が転居先の住宅の改装工事に着手したとき
- 建売住宅の売買で売主が買主の要望により外構の変更工事や追加工事を行い,買主名義の表題登記を行ったとき
- 建売住宅の売買で買主の委託を受けて買主名義の表題登記を行ったとき
- 他人物売買で売主が売買物件の所有権登記を得たとき
- 売主買主連署で売買に必要な農地法許可申請を行ったとき
買主が履行に着手 = 売主は手付解除ができなくなる
次のような場合は「履行に着手」とされた判例があります。
- 買主が残代金を準備し再三にわたり売買物件の引渡しを求めたとき
- 農地法の許可を受ける前であっても買主が残代金を売主に支払ったとき
手付金と申込金(申込証拠金・予約金)や違約金の違い
手付金・申込金・預り金・違約金の違い
- 手付金・・・売買契約の後に①契約の証として②手付解除をできるように交付される金銭(手付解除の場合は相手に手付金額を支払う)
- 申込金(申込証拠金・予約金・預り金など)・・・なにかしらの契約に申込をした証拠や予約の金(通常は返金される)
- 違約金・・・売買契約後の損害賠償額の予定(※定めておいた方が良い性質のもの)
手付金は,買主が手付解除を行う以外の解除の場合は返金されます。
手付解除とは,売買契約の後に,買主あるいは売主が「買うのをやめます」「売るのをやめます」という解除です。それ以外の理由の解除は手付金は返金されます。
また,賃貸借の契約については日本の民法では手付というものはありません。
しばしば質問がある「以前に手付金は返せませんと言われたことがあるのですが…」という手付金のようなものは次のようなものが多いようです。
<手付金のようなもの>
- 賃貸物件の申込のような金・・・手付とは売買契約です。賃貸借契約は手付ではありません。
- 建築の請負契約の申込金・・・請負契約を結んでおらず手付金ではない場合が多いのではないでしょうか。(ただし,請負契約を済ませており「手付解除をしたい」という方は直ちに請負者様に確認を。売買契約とは異なります。)
知っていますか? 不動産売買の解除の種類について
不動産売買の場合,複数の種類の解除があるということを知っていますか?
引渡し前にできる解除や引き渡しが終わってもできる解除など

「引き渡しが終わった後は解除ができない」と思っている方は多いのですが,売買契約の約定などにより,引き渡し後に契約の解除が可能な場合もあります。
契約の約定に拠りますが,契約不適合責任による解除や反社条項による解除などは引渡し後にもできる解除として定められている場合が多くあります。
売買契約の解除の種類について
不動産売買契約の解除については①売買契約の約定や②民法等の方で定められた解除などが複数あります。
- 手付解除・・・買主は手付金を放棄・売主は手付金額を倍返しをして売買契約を一方的に「やめます」という解除。
- 危険負担による解除・・・売買契約後に火災などで契約対象物件が滅失してしまった場合などの解除
- 契約違反による解除・・・契約で定めた残代金支払い・引渡の約束期日に残代金の支払いがないあるいは引渡しをしない場合の解除。違約金の定めをする場合が多い。
- 契約不適合責任による解除(旧瑕疵担保責任)・・・売買の対象物件に契約不適合があった場合の解除
- 融資利用による解除(ローン特約)・・・買主が融資許可が得られなかった場合は契約を解除できる条項。
- 開発行為の許可・建築確認などの停止条件付解除・・・開発行為の許可や建築確認が得られない場合は契約は解除になる場合などの条項。
- 建築条件付き解除・・・売買契約後の指定期日以内に建築の請負契約を結ばない場合は契約が解除になる条項。
- 合意解除(解除契約)・・・売主買主が合意により売買契約を解除する契約
不動産の売買では,売買契約の約定や民法等の法で定められた各種の解除があります。
「手付金が戻ってこない」という解除は,手付解除の場合と買主側の契約違反による解除の場合のみです。
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