勘違い注意!【市街化調整区域】と【都市計画区域外】は別物

「市街化調整区域」と「都市計画区域外」の違いについて解説

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「市街化調整区域」と「都市計画区域外」では,建築・開発の規制の厳しさは正反対

 不動産の購入や売却の時「市街化調整区域」「都市計画区域外」という用語を目にした際ご注意を

 「市街化調整区域」と「都市計画区域外」は,緑豊かな郊外・のどかな田園風景・田舎といった景色の点では同じでも,建物建築や土地開発に関する規制の内容は正反対です。

【要点まとめ】「市街化調整区域」と「都市計画区域外」の注意点

 【 結果が正反対 】

 郊外・田園・田舎という同じ雰囲気のエリアでも,規制内容が全く違うので注意!!

  • 市街化調整区域・・・建物建築や土地開発が非常に厳しい = (原則)建てられない
  • 都市計画区域外・・・建物建築や土地開発の規制はゆるい = (原則)建てられる

※上記は,個別の法令の制限(接道や農地法など)による建築の可否等を考慮しない場合です。

 【 プロでも勘違いをしている場合があるので注意 】
  • 不動産業者・建築業者・金融機関など,プロの方でも勘違いして回答をしている場合もあるので注意
  • 「住宅ローン」「不動産融資」の相談時に,相談者様が間違って伝えている場合もあるでの注意

プロでも勘違いをしている場合があるので注意

 不動産業者・建築業者・金融機関の担当者が,「市街化調整区域」の不動産と「都市計画区域外」の不動産を勘違いをしているケースは,実務でもよくあります。

 「勘違い」以外には,「聞き違い」や「伝え間違い」,「記載ミス」など…該当する不動産が「市街化調整区域」にあるのか「都市計画区域外」にあるかで結論は正反対となるため本当に注意が必要です。

市街化調整区域や都市計画区域外の風景
「市街化調整区域」・「都市計画区域外」共に,このような似たような風景

【実例FAQ】「市街化調整区域」と「都市計画区域外」を勘違いしているケース

 不動産取引の現場やご相談の中で,「市街化調整区域」と「都市計画区域外」の土地や建物について,よくある勘違いを記載しました。いずれも実例です。

 ちょっとした勘違いから始まるお話でも,対象の不動産が「市街化調整区域」にあるのか「都市計画区域外」にあるのかで結論が全く異なってくるので要注意です。

 ※なお,接道要件や崖条例・農地などその他の個別の法令制限は考慮しないこととします。

建築業者の方

お客様のお土地には建物は建てられません…

ご相談者

えーっ!? 建物が建てられる土地だと聞いてたのに!


住宅ローンの相談をした金融機関の方に「都市計画区域外の土地は住宅が建てられないので,住宅ローンの融資はできません」と言われました…。

 私が購入の契約をした「都市計画区域外の土地」は本当に住宅が建てられるのですか?

金融機関のご担当者が「都市計画区域外」の土地と「市街化調整区域」の土地とを勘違いされている可能性もあります。

まず,「都市計画区域外」の土地は原則的に住宅が建てられます。

(よくあります。知識習得に熱心な方や実務経験豊富な方ほど勘違いしやすい傾向に…。)

しかし,上記のような「勘違い」とは別の理由,具体的には「(ご相談した金融機関が)エリア外のため融資ができない」「(ご相談した金融機関の不動産評価の基準で)都市計画区域外の不動産に融資はしない」という意味で「融資ができない」という場合は多々あります

この点につきましては,再度ご確認ください。

住宅の建築会社の方に「お客様のお土地は都市計画区域外のため,建物を建てるのは厳しい」と言われました…。

セカンドハウスを建てようと考えていましたが,私の所有する『都市計画区域外』の土地では建物の建築ができないのですか?

『都市計画区域外』の土地は,原則的に建物は建てられます。

建物が建てられない(ほど規制が厳しい)のは「市街化調整区域」の土地です。

ご相談されたハウスメーカーや工務店のご担当者が勘違いをされている場合もありますので,改めて『都市計画区域外』の土地とお伝えください。

(よくあります。当該地域で普段は建築を行っていない(エリア外の)ハウスメーカーの方にご相談された場合などに起こりやすい印象があります。)

別荘用地を探しています。気になる売地の物件概要を見ていたところ,「市街化調整区域」と記載されていました。この売地は本当に別荘を建てられる土地ですか?

市街化調整区域」の土地ならば別荘の建築は極めて厳しいと思います。

しかし,広告やポータルサイトの「物件概要」の記載で「都市計画区域外」とするところ「市街化調整区域」と記載されていることは,しばしばあります

気にいっている土地の場合は,掲載している不動産業者さんにご連絡し確認をおすすめします。

(なお,都市計画区域外の土地ならば別荘が建てられる可能性は高いです。)

買主様が都市計画区域外の土地の売買契約をした後しばらく時間が経ってから)

「私がこの前建物建築用に購入した土地は,市街化調整区域の土地でしたよね?」

いいえ。都市計画区域外の土地です。


※よくあります。時間が経って買主様が勘違いするケース本当によくあります。

都市計画区域の外に建物を建てたり住んでもいいのですか?

たしかに日本の全人口の90%以上が都市計画区域にいるため,そのように思われるのも不思議ではないかもしれません。

しかし,都市計画区域の面積は日本全体の面積の4分の1に過ぎません。残りの4分の3の面積が都市計画区域外となり,当該地域の人口は10%です。

緑豊かな郊外・田舎という点で,市街化調整区域の土地と都市計画区域外の土地は似ていませんか?

まさにその通りです。似ています。そのために勘違いが始まります。

(購入した都市計画区域外の土地への建築の相談で)地元工務店の方に「都市計画区域外のため建築確認申請がいらない」と言われましたが,本当ですか?

都市計画区域外の土地であれば建築確認申請がいらない場合があります。

ただし,「工事届」が必要な場合や建物の用途によって建築確認申請が必要な場合がありますので,ご注意ください。

(市街化調整区域の土地の売却相談で)不動産業者の方に「市街化調整区域でもこの土地は既存宅地のため,建築許可がなくても建築ができる土地だ」言われたが,どうして建築許可を受けないとこの土地は建物が建てられないの?

そのお話があったのは20年以上前のお話ではないですか?

たしかに,ご質問のような『既存宅地』の制度はありましたが,2001年の都市計画法の改正により現在この制度は廃止され,建築については許可制に移行しています。

なお,許可が得られるかどうかについては,当該自治体により運用の基準も異なります。必ず自治体にお尋ねください。

市街化調整区域と都市計画区域外の風景
景色や風景は市街化調整区域も都市計画区域外も似ています

【詳しく】「市街化調整区域」と「都市計画区域外」について

 実務でも混同されることの多い「市街化調整区域」と「都市計画区域外」の不動産に対する規制について,詳しく説明します。

 景色風景は似ている緑豊かな両地域・・・何度も申し上げますが,「市街化調整区域ならば原則建物が建てられない」「都市計画区域外ならば建物は原則建てられる」となります。

「市街化調整区域」と「都市計画区域外」を図で説明

 下の図のように,日本の国土は「都市計画区域(内)」「都市計画区域外」で区分けされます。

 都市計画区域の外側,すなわち「都市計画区域外」の土地は,都市的な活動が展開される可能性がない区域ととらえられており,建築行為や開発行為に関する規制が緩いエリアとなっています。

 対して,都市計画区域の内側は,都市としての整備・開発・保全を進めるために,市街地開発事業の実施・開発許可・建築確認の実施等が明確に定められています。そして,この都市計画区域の内側は,市街化を推し進める「市街化区域」と市街化を抑制する「市街化調整区域」とに区分がなされています。

市街化調整区域とは

 市街化調整区域とは,都市計画区域の内側にある市街化をおさえる区域です。

要点まとめ 「市街化調整区域」について

<市街化調整区域とは>
  • 都市計画区域の内側市街化を抑制する区域 = 建物を建てることが難しい地域
<原則>
  • 建物を建てることが原則禁止されている。
<特徴>
  • 限られた用途の建物については建てることができるが,建築許可が必要。
  • 建物を建てるために土地の区画形質の変更を行う場合には,開発行為の許可が必要。なお,開発行為の許可を得るのは非常に厳しい。

都市計画区域外とは

都市計画区域外とは,都市計画区域の外側にある地域のことです。

要点まとめ 「都市計画区域外」について

<都市計画区域外とは?>
  • 都市計画区域外とは,都市計画区域の外側の地域のこと。
<原則>
  • 都市計画制度の射程外のため,建物の建築の規制等が非常にゆるやか。
<特徴>
  • 建築基準法の集団規定の適用がない
  • 具体的には建蔽率や容積率がない
  • 原則として建築確認申請もいらない

プロでも勘違いをしている場合があるので注意

 我々のような不動産業者,建築会社,金融機関の方などでも,うっかり「市街化調整区域」と「都市計画区域外」とを勘違いしていることはあります。

 また,ご相談者が言い間違えて担当の方にお伝えしているケースもあります。

よくある「勘違い」のパターン

  • 物件資料の記載ミス転記ミスにより発生するケース
  • 担当者がうっかり勘違いしているケース
  • 担当者が本当に違いをわかっていないケース
  • 相談者様が「市街化調整区域」と「都市計画区域外」間違えて伝えているケース

 実務でこのあたりの事例は何度も遭遇します。

「市街化調整区域」や「都市計画区域外」の不動産について,「どうして住宅ローンが組めないんだろう?」「どうして周りは建っているのにこの土地は建てられないんだろう?」「おかしいな…なんで売れないのだろう?」などの疑問がある場合は,単純に「勘違い」をしている場合もあるという場合もありますので,ぜひ一度確認をしてみてください。

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