「検査済証」と「確認済証」の違いについて

不動産を売買する時に「検査済証」と「確認済証」のどちらが大事?

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不動産売買時に大切な「検査済証」と「確認済証」

 建物付きの不動産を売買する際に資料として求められることの多い「検査済証」と「確認済証」の違いについてまとめてみました。

【要点まとめ】「検査済証」と「確認済証」について

  • 書類の重要度・・・「検査済証」>>>「確認済証」
  • 「確認済証」・・・建築工事をする前建築基準法等に適合するものであることの確認を受けた書類
  • 「検査済証」・・・工事完了後検査を受け建築基準法等に適合しているときに交付された書類
  • 「検査済証」は無い場合も多い(特に2000年以前の築のもの)

「検査済証が無い」という場合は多い

 完了検査を受けたという証である「検査済証」は,実務の感覚では言えば,1990年代までの建築物については「検査済証が無い」という場合が多いのではないでしょうか。

 理由は,「検査済証」を交付されるために必要な「工事完了検査」を当然のように受けるようになったのが,2000年代後半以降のためです。

【実例FAQ】 検査済証と確認済証について

 建物付き不動産の売買や活用のご相談時など,実務でよくある「検査済証」と「確認済証」についてよくある質問をまとめてみました。

購入検討中の方

だめだ…この建物は「検査済証が無い」から見送ろう。いい物件なのになぁ。

不動産業者

「検査済証」がない建物,実はとても多いのですよ。

「確認済証」と「検査済証」の違いは何ですか?

一言で言えば,「確認済証」は工事着工前の書類,「検査済証」は工事完了後の書類です。

「確認済証」があれば,現在のこの建物は建築基準法上は適法な建物と言えるのですね?

全くそのようなことはありません。

建築工事着手の前に建築基準法等の法令に反していないことが「確認」ができただけであって,建築工事中に申請した内容と違う工事を行っている場合や,完成後に違法な増改築がされている場合もあります。

よくあります。

「検査済証」があれば,現在この建物は建築基準法上は適法な建物と言えるのですね?

全くそのようなことはありません。

「検査済証」発行後に違法な増改築を行った場合には,「違反建築物」と言えます。

よくあります…。

「検査済証が無いと住宅ローンが使えない」とネットで見ました。

たしかに,新築の建物の場合は,検査済証が無いと住宅ローンの融資実行まで進めませんので,住宅ローンの利用ができないと言えるかもしれません。

しかし,中古の建物を購入する場合は,代用書類として「台帳記載事項証明書」を提出するなど住宅ローンの利用が可能となるケースなど,実際に融資実行まで至る場合は多々あります。

(なお,「検査済証が無い」という建物は実際に築年数が古いものが多く,それゆえに融資を利用しにくいという点も多分にあると思います。)

「完了検査を受けなかった理由」はどのようなことが考えられますか?

まず,2000年代前半までの建築物は完了検査を受けていない建築物の割合が多かったのは事実です。

90年代は建築物の6割が完了検査を行われていません(国交省データから)。

そして,完了検査を受けなかった理由としては,次のようなことが考えられます。

(1)2000年代前半までは「完了検査を受けなくてもさほど不利なことはなかった」逆に言えば「完了検査を受けても得することはなかった」 ※正確に言えば,2000年ごろより,完了検査を受けた方が得になるようになっています。

(2)施主(建築主)が,工事完成を急いでいたケース

(3)施主が(建築主)が,「確認済」後の建築工事中などに変更を希望したケース

(2)や(3)のような事情はよくあったと思います。

【詳しく説明】 「検査済証」と「確認済証」について

「検査済証」と「確認済証」について,詳しく説明します。

建物の建築の流れ

「確認済証」や「検査済証」は建築物の工事を行う際の一連の流れと深く関わるため,まず,建物の建築の流れを説明します。

建築の計画など

これから建築をしようという計画を立てます。

STEP
1
建築確認申請と「確認済証」
  •  建築主は,一定の建築物を建築(増改築を含む)する際には,建築工事に着手する前に,建築の計画が建築基準法等に適合している旨の確認を受けなければなりません。この「確認」のことを「建築確認」と言います。
  • この確認は建築主事または指定確認検査機関に対して申請を行います。
  • 上記「確認」の後に交付されるのが「確認済証」となります。
STEP
2
着工

確認済証が交付されたら工事着工できます。

STEP
3
(中間検査)
  • 階数が3階以上の建築物などは,中間検査を受けなければなりません。(自治体により中間検査を受けなければならない対象が異なります。)
  • この「中間検査」合格後には「中間検査合格証」が発行されます。
STEP
4
工事完了

工事が完了したら完了検査を申請します。

STEP
5
完了検査と「検査済証」
  • 工事完了後に完了検査を受けできあがった建築物が建築基準法等の法令に適合している場合には「検査済証」が発行されます。
STEP
6
引き渡し

建築物が引き渡されます。

STEP
7

「確認済証」について

「確認済証」とは

 建築工事に着手する前に,建築主事または指定確認検査機関建築の計画が建築基準法等に適合している旨確認した証の書類です。

「確認済証」の実例

 下記が実物の「確認済証」です。
 
 お手元の書類が「確認済証」かわからない方下記画像の赤囲み部分のように「確認済証」と書かれているものが「確認済証」です。

確認済証の見本
指定確認検査機関の確認済証
「確認済証が無い!」

 「確認済証がない」という建築物は,「非常に危険」なパターン「あまり問題はない」パターン結果が極端なためご注意ください。

「確認済証が無い!」理由

  • 確認済証を紛失したパターン・・・なんとかなります
  • 完全なる違法建築物のパターン・・・非常に危険!です。
  • 都市計画区域外のエリアでの建築など,確認申請が不要なパターン・・・※あまり問題はありません
確認済証が無い場合に行うこと

 まず,建築物の建てられた自治体の建築係などに行き,「台帳記載事項証明書」を確認ください。

「検査済証」について

検査済証とは

 建築基準法で定められた「建築確認」(場合により「中間検査」)「完了検査」のすべて完了し,その建物が建築基準法等の法令に適合していることが認められたときに交付される証の書類です。

検査済証の実例

 下記が実物の「検査済証」です。

 お手元にあるどの書類が「検査済証」かわからないでお悩みの方,下記画像の赤囲み部分のように「検査済証」と書かれているものが「検査済証」です。

検査済証の見本
指定確認検査機関の「検査済証」
「検査済証が無い!」

 この大事な「検査済証」・・・実は「検査済証が無い!」ということは非常に多いのです。

検査済証が無い理由

  • 紛失してしまったケース
  • そもそも完了検査を受けていないケース・・・完了検査を受ける割合が80%を超えるのは2000年代後半。90年代は40%も完了検査を行っていない。※国交省データより

 実務で言うと,紛失のケースも考慮すると,90年代の建築物の「検査済証」はほとんど無いような印象があります。

 「完了検査を受けなかった理由」については下記のようなケースが考えられます。

(1)2000年代前半まで「完了検査を受けなくてもさほど不利なことはなかった」逆に言えば「完了検査を受けても得することはなかった」 ※正確に言えば,2000年ごろより,完了検査を受けた方が得になるようになっています。

(2)施主(建築主),工事完成を急いでいたor完了検査を受けるメリット<<<工事完了のメリットのケース

(3)施主が(建築主)が,確認申請後の工事中などに変更を希望したケース

検査済証が無いと非常に困る点

 検査済証が無いと非常に困る点は下記のとおりです。

検査済証が無いと非常に困るケースのまとめ

  • 防火地域・準防火地域での増築をするとき
  • 10㎡以上の増築をするとき
  • 200㎡以上の用途変更をするとき

「検査済証」「確認済証」も過去の一時点での証明。現在の適法性を証明するものではない点に注意。



「検査済証」は工事完了時点「確認済証」は確認申請時点における建築基準法等の法令に適合していることの証明に他なりません。

 逆に言えば,工事完了後や確認申請後に,建築基準法等の法令に適しない形で工事を行ってしまえば,「確認済証」があることも「検査済証」があることも,意味がなくなってしまいます。

 そして実際にそのようなパターンの建築物は多くありますので,ご注意を。

確認済証・検査済証があってもその後に変更されているケース

  • 検査済証はあるが,その後に敷地を分筆して売却したために建蔽率オーバーとなった建物・・・違反建築物です。
  • 検査済証はあるが,その後に敷地を分筆したために接道不可となった建物・・・再建築不可です。
  • 検査済証はあるが,その後に増築がなされ容積率オーバーとなった建物・・・違反建築物です。
  • 確認済証は2階建ての木造だが,なぜか大人が立てるようなロフトが設けられている建物・・・違反建築物の可能性があります。

以上のようなケースは実務ではよく目にします。

中古の建物付き不動産を売買・活用しようという場合には,「検査済証」「確認済証」ともに一つの資料であって絶対のものではないという点にご注意を。

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