【確定測量図】の有無は土地の価格にどこまで反映されているのか

「確定測量図」を「現況測量図」「地積測量図」の違いとともにご説明

ホーム » 不動産コラム » 【確定測量図】の有無は土地の価格にどこまで反映されているのか

隣地境界異常なし!最新の「確定測量図」の価値

 不動産取引の際などに作成される「確定測量図」は,不動産ポータルサイトなどにおいて「確定測量図有ります!」などとアピールされることは少ないかもしれません。

 しかし,「確定測量図」は少なくとも1カ月以上の時間数十万円~百万円程度を費やして作成される,お隣さんと境界争いがない証明でもある書類です。

要点まとめ:「確定測量図」について

ザっと確認するには「要点まとめ」だけをお読みください。

要点まとめ:「確定測量図」について

  • 土地に関して数種類ある「測量図」の内すべての隣接地所有者が立会い境界(筆界)確認が行われて作成されたものが「確定測量図」
  • 境界(筆界)確認は,隣接地所有者民(個人や法人)だけでなく,官(国・都道府県・市区町村)立会いが必要な場合もあり時間がかかる(少なくとも1カ月程度~)
  • 隣接地所有者は「境界確認に協力しない」という選択肢をとることも… = 「確定測量図」がある場合境界紛争がある可能性は極めて低い
  • 「確定測量図」土地家屋調査士に依頼を(法務局に代理申請できるため)
  • 確定測量図」の作成費用数十~百万円程度
  • 土地売買に際して絶対に必要というわけではない

※なお,「測量図」に「確定測量図」と書いてあることは多くはないかもしれません。迷ったらご相談ください。

「確定測量図」の有無は土地の価格にもっと反映されて良いのかも…

 たとえば,あなたが購入しようと思っている土地が,お隣さんと「境界の争いがある」と聞いた場合,何%程度価値が下がるでしょうか?

 あるいは,「確定測量図」を隣地との紛争を抱えていない証拠の書類と考えた場合,どの程度土地の価格に反映されるでしょうか。

 地味だけれども非常に大事な測量図である「確定測量図」について,実務でよくあるお話とともにご説明します。

境界確定され設置された境界標

【実例FAQ】「確定測量図」に関連してよくあるお話

 実務でよくある「確定測量図」に関連する質問やお話を記載しました。

 土地に関する「測量図」は種類があり,また「確定測量図」と書かれているものは多くないため「何が確定測量図かわからない」という場合が多くあります。

 また,そもそも「確定測量図」作成の前提である隣接地所有者が立ち会っての「境界確定」については,様々なお話があったりします。

不動産新人

お客様!そのお土地は「測量図」があるので安心です!

不動産先輩

ちょっと待って…いつの時代の何の測量図かわかってお伝えしているの!?

法務局で「地積測量図」を取得しました。この測量図が最新の「確定測量図」ですよね?

よくある勘違いです。

(法務局という公の役所で取得する測量図のためでしょうか…)

「地積測量図」「分筆登記」「地積更正登記」「土地表題登記」など,登記の申請の際に添付される測量図で法務局に保管されているものです。

土地の購入を検討しています。不動産屋さんから最新の日付入りの「測量図」をいただきました。これが「確定測量図」ですよね?

その測量図は「現況測量図」の可能性が高いと思われます。

なお,隣地の土地所有者の方と境界確認済か,お問合せをされた方が良いかと思います。

私が見ている図面には図面名称で「求積図」と書かれています。令和の最近の日付とともに,作成者は「〇×土地家屋調査士事務所」と書かれています。これは「確定測量図」でしょうか?

どなたからその「求積図」をいただいたのでしょうか?

「隣接地所有者の方の印鑑などが押されたもの」や「確定」の文字が入っている書類などは,その近くにありませんか?

土地の購入を考えています。住宅建築会社さんから「建築の正式な見積もりのため,高さ入りの測量図が欲しい」と言われました。「確定測量図」をください。

「確定測量図」には高さの記載がないと思われます。

「現況測量図」に高さの記載がある場合があるので「現況測量図」をご確認ください(絶対に高さが入っているわけでではありません)。

なお,それ以上の「高低測量図」(土地を数mピッチごとに測定して高さを図面に記載したもの)は,通常買主様サイドで作成依頼するのでない場合が多いと思いますので,ご注意ください。

相続した土地を売却しようと考えています。不動産屋さんに売却に必要な費用として「土地の測量費用として100万円くらい!」と言われました。これは,ぼったくり価格ではないでしょうか?

一読した段階で,ぼったくり価格ではないと思われます。

「確定測量」については,原則,土地家屋調査士に依頼をします。この場合,隣接する土地が何件あるか,境界標を何カ所入れなければならないか,隣地所有者の中で相続登記が未了の方はいないか(海外在住の方や所在不明の人もあります…)など様々な要因があります。

相続人が多い場合や行方不明者がいる場合など,探索に数カ月の期間を要することはざらにあります。

以上のような場合には,100万円くらいの費用が必要になりますので,予め「売却に必要な費用」として見積もっておいてよいと考えられます(数十万円~広い土地ならば200万円程度の場合も)。

土地を売買するときには「確定測量図」が必須とネットで見ましたが,確定測量を行わなければ土地売買ができないのでしょうか?

そのようなことは絶対にありません。

「確定測量を行うか行わないか」は,土地を売買する契約(売買契約書)の内容で売主買主間で自由に定めることができます。

実務では「確定測量図なし」での売買は多々あります。

お隣さんとの境界確認の結果,「私の所有する建物が越境している」と言われたのですが・・

・・・よくあります。

お隣の土地所有者には以前ひどい目に遭ったので境界立会に協力したくないのですが,協力する義務はあるのですか?

・・・わかります。

(協力する義務はありません)それ故に「確定測量図」は価値があるものと考えられます。

苦労して設置された境界標
境界標一つの設置には大変な労力が…

【詳しく】「確定測量図」とその他「測量図」について解説

 まず,「確定測量図」については「地積測量図」や「現況測量図」とともに,「どれが確定測量図?」となることが多い「測量図」となります。

 また,「測量図」については,そもそも図面のタイトルが統一されていなかったり,似たような「求積図」などとの勘違いがあったり,あるいは時代による測量の精度もあったりと・・わかりにくい書類です。

そもそも「測量図」っぽい種類は複数あり,大事な土地取引で間違えやすいので注意が必要

測量図の種類について

 まず,土地の取引などの際に使う主な「測量図」としては「確定測量図」「現況測量図」「地積測量図」などがあります。

 このうち,最も「確定測量図」と勘違いしやすい「測量図」は法務局で取得する「地積測量図」かもしれません。

主な測量図の種類

  • 確定測量図・・・すべての隣接地所有者と境界確定を行った上で測量を行い作成された図面
  • 現況測量図・・・隣接地の境界の確定は行わずに土地の現況を図った図面
  • 地積測量図・・・「分筆」「地積更正」など法務局に登記申請する際に添付した図面
東京法務局
「地積測量図」は法務局で取得するため勘違いしやすい

地積測量図(ちせきそくりょうず)とは

「法務局」という役所で取得するため「確定測量図」と勘違いをしやすい「測量図」かもしれません。

また,作成された時期によって測量の精度や作成された経緯も異なるので,注意が必要です。

地積測量図

  • 土地の「分筆登記」「地積更正登記」「土地表題登記」などの登記申請の際に添付書類として作成される測量図で,法務局に保管されているもの
  • 平成17年以前の「地積測量図」は分筆する土地しか測量していない。
  • 精度については,作成された年代によりまちまちのため非常に注意が必要

現況測量図(げんきょうそくりょうず)とは

現況測量図

  • 隣接地の境界の確定はせずに土地の現況を図った図面
  • 高さが入っていたりするので現況がわかりやすい

確定測量図(かくていそくりょうず)とは

 何度も記載しますが,すべての隣接地との境界について,隣接地所有者の立会いのもと境界確認(官民査定を含む)を行い,これに基づいた測量をし作成された図面が「確定測量図」です。

「確定測量図」とは

  • すべての隣接地との境界について,隣接地所有者の立会いのもと境界確認(官民査定を含む)を行い,これに基づいた測量をし作成された図面 
  • 境界確認の相手方は,お隣に住んでいる仲の良い人とは限らない(海外居住者や行方不明者や,仲の悪い人である場合も…)
  • 隣接地に水路や道路などの官地がある場合は,国や都道府県・市区町村の立会いが必要(すぐには来てくれない)
  • 境界確認の際に,不都合な真実が発見されることも…
  • 作成に費やす時間は,少なくとも1カ月程度~
  • 測量から登記まで行うため,依頼するのは土地家屋調査士へ
  • 費用は数十万円~百万円
「確定測量図」に関するよくある誤解

 ネットなどに「土地売買の際には確定測量が必要!」と書かれている場合がありますが,法で「土地売買の際には確定測量を行わなければならない」などと定められているわけではありません。

 「確定測量を行うか行わないか」は売買契約の特約で自由に定めることができ,実務では「確定測量を行わない土地売買」は多々あります。

 具体的には・・・

  • 土地売買を早く進めたいが隣接地所有者との境界確定に時間がかかる・・・隣接地所有者が海外居住や行方不明などのケースは多くあります。今後もっと増えてくるでしょう。
  • 売却にあたって面倒な時間や労力を割きたくない・・・確定測量図の作成には時間と費用が掛かります。買主が不動産業者さんなどのケースです。
  • 売却にあたって費用面で確定測量を行う意味がない・・・空き家空き地が多い地方不動産のケースです。費用倒れしてしまう場合もあるため。
  • 隣接地の所有者が境界立会には明らかに同意しない・・・このケースも良くあります。

「確定測量図の有無」は土地の価格にどの程度反映されているか?

さて,以上のような多くの時間と労力を費やし作成された「確定測量図」の価値は土地の価格にどの程度反映されているでしょうか?

土地の価格は「〇×エリアは坪単価100万円」などと,簡単にはお話しできないかもしれません。

しつこいセールスは行っておりません。お気軽にご相談ください。03-5324-2800受付時間10:00-20:00 [ 水曜定休]

ご相談フォーム クリックして簡単な入力でご相談
ホーム » 不動産コラム » 【確定測量図】の有無は土地の価格にどこまで反映されているのか