【一般媒介契約】売却を不動産業者に任せる場合(2)

お互いに使い勝手が良い「一般媒介契約」

ホーム » 不動産コラム » 【一般媒介契約】売却を不動産業者に任せる場合(2)

一般媒介契約(いっぱんばいかいけいやく)とは?

不動産の売却を不動産業者に依頼する時には媒介契約を結びます。

この媒介契約は「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」と種類がありますが,今回は一般媒介契約について説明します。

【要点まとめ】一般媒介契約

次の図のように,複数の業者に任せるのが一般媒介契約
複数に任せられるのが特徴

【実例FAQ】 一般媒介契約でよくあるお話

 不動産取引の現場やご相談の中で,「一般媒介契約」についてよくあるご質問やお話を記載しました。いずれも実例です。参考にどうぞ。

「一般媒介では不動産屋さんのやる気が出ないので売れない」と聞いたのですが?

そのようなことはないと思います・・・

専任媒介に比べて一般媒介の優れているところは何ですか?

複数の不動産業者に売却を任せられることが一般媒介のメリットです。

具体的には,①不動産業者間で競争原理が働くこと,②不動産業者の得手不得手による偏りを減らせること,③専任媒介による囲い込みを起こさせないことが挙げられます。

いわゆる「専任媒介による弊害」はありますか?

ありました。

大きく分けると2つのケースがあります。

一つ目は,物件の囲い込みです。あなたが売却の専任媒介を依頼した業者が,両手取引をしたいがために,あなたの売却中の物件を市場に出さない場合です。

二つ目は,購入申込の握りつぶしです。あなたが売却中の物件に購入希望者様が現れた際に,購入申込があったことをあなたに告げない場合です。

複数の不動産業者に売却を依頼した場合,連絡などはどうするのですか?

売主様とそれぞれ依頼した複数の不動産業者がいるため,(ある意味)不動産業者はバラバラに動くことになります。そのため,購入希望者の方が現れた際には速やかに依頼された不動産業者にご連絡をお願いします。

【詳しく】 一般媒介契約とは

【一般媒介の長所】

  • (人気物件の場合)依頼した不動産業者間で競争原理が働く
  • 不動産業者の得手不得手による偏りを平準化できる
  • 内緒の売却規制のある不動産の売却向いている
  • 専任媒介契約に比べて)囲い込みを防止できる

【一般媒介契約の短所】

  • 専任媒介契約に比べて,依頼者(売主様)の手間がかかる
  • 専任媒介契約に比べて,不動産業者が売却の力を入れない(?)

【法律で定められている点】

  • 依頼者(売主様)が複数の不動産業者に売却を任せられる
  • 不動産業者はレインズへの登録義務は無い※
  • 不動産業者は売却活動の報告義務は無い※
  • 依頼者(売主様)自らが買主を見つけた場合(知人や親族など)は直接売買契約できる

「一般媒介契約」の長所

メリット多数の一般媒介契約。人気エリアや人気マンションなどとの相性はバツグンです!

依頼した不動産業者間で競争原理が働く

売却活動(買主様を見つける活動)を複数社に依頼した場合,不動産業者間で競争原理が働くのは事実です。

売れ筋物件の所有者様は,こちらの一般媒介契約による売却をおすすめします。

複数社に依頼することによって,幅広く,より早く買主様を見つけることができるはずです。

不動産業者の特徴や得手不得手を平準化できる

不動産業者にはそれぞれ特徴があります。

特徴を理解したうえで複数の業者に売却を依頼できる点が一般媒介契約のメリットです。

不動産の仲介業者の違いや特徴

  • 不動産業者の規模の違い・・・都市部を中心に全国展開する大手の仲介業者,その地域の有力業者,個人経営のお店など,それぞれに特徴があります。
  • 売買がメインか賃貸がメインかの違い・・・文字通り売買物件が中心か賃貸物件が中心かの違いです。
  • 取扱い物件やジャンルによる違い・・・マンションや一戸建てといった住宅系が得意な業者もあれば,商業物件が得意な業者,土地が得意な業者,不動産投資用の物件が得意な業者などがあります。
  • 成り立ちによる違い・・・大手で言えば財閥系・金融機関系・鉄道系・建設業系,中小~地元の不動産業者で言えば様々な成り立ちによる違いがあります。
  • 物件の担当者による違い・・・実際は一番大きいのがこの担当者による違いかもしれません。

「大手に任せたけど売れない」…?

信頼感や広告費など,全てにおいて優れるのが大手の不動産仲介業者です。

しかし,それでも「大手に任せたけど売れない」という場合はあります。

そのような場合,決して価格の面だけではなく,実は取り扱う不動産業者の得手不得手や担当者による得手不得手によるミスマッチが原因で売れないというケースもあります。

誤解を恐れずに言えば,

具体的には,売れ筋の住居系が得意な有力業者に再建築不可などのクセのある不動産や事業用の不動産の売却を任せていたが,なかなか売れないなどのケースです。

そのような場合にはもしかしたら,再建築不可を専門に扱っている業者や商業物件を扱っている業者に声をかけたほうが売却が早いのかもしれません。

3社に程度に媒介を依頼するのもおすすめ

そのような事態を回避するためには,例えば,大手の不動産仲介業者1社+地域の有力業者1社+その他知り合い業者・特徴ある会社1社=3社に一般媒介契約で任せる形式が向いていると言えます。

「物件の囲い込み」や「購入申込の握りつぶし」が発生しにくい


専任媒介契約・専属専任媒介契約といった一社の不動産業者が売却窓口を独占した時に,売却依頼を受けた不動産業者によって,いわゆる「物件の囲い込み」や「購入申込の握りつぶし(購入申込を売主様に連絡しない)」が全く無いというわけではありません…。

このような場合も実際にあります。

専任媒介・専属専任媒介の場合の囲い込み事例

  • 売り物件の情報を公開しない
  • レインズに掲載しない
  • 購入申込を売主様に伝えない
内緒の不動産売却にも向いている

一般媒介の売却形式は,内緒の不動産売却や規制のある不動産の売却に,非常に向いています。

レインズの掲載義務

不動産の売却を専任媒介契約で依頼した場合,依頼を受けた不動産業者はレインズという不動産業者間のネットワークへの掲載は必須(専任媒介契約日から7日以内に掲載)となります。

このレインズに掲載された情報を基に各不動産業者はそれぞれのお客様へ物件を紹介したりします。

しかし,このレインズを見た不動産業者が,どのような買主の方に紹介・案内するかということはわかりません。

その点,一般媒介は内緒の売却に向いています。

レインズの掲載義務

  • 専任媒介・・・必須
  • 一般媒介・・・任意(明示型と非明示型)

一般媒介契約の場合,レインズという不動産業者間のネットワークへの掲載も任意となります。

このレインズへのが登録が任意である点を活かした売却が可能です。

たとえば・・・

レインズへの掲載を行うと,各不動産業者がその掲載情報を基に,買主様への物件情報の提供を行います。

隣人や親戚の方など,ご自分で買主を見つけた場合には,直接の売買契約が可能

なお,それぞれの不動産業者が販売活動中に,売主であるあなたがご自身で買主を見つけた場合には,直接の売買契約が可能です。

一般媒介契約の短所

一般媒介契約のデメリットは,不人気物件や難しい不動産の売却時に現れます。

不人気物件は…

 率直に言って,不人気物件や売却の難しい不動産は一般媒介契約に向かないかもしれません。

もう一度確認 一般媒介のデメリット

専任媒介契約に比べて,依頼者(売主様)の手間がかかる

専任媒介契約に比べて,不動産業者が売却の力を入れない(?)

不人気物件固有の問題と一般媒介契約の相性の悪さ

都心部(地方都市の都心部も含む)のマンションが天井知らずで高騰する一方で,郊外・地方の古い戸建・小規模店舗は空き家が次々に生まれており,日本の不動産は完全に二極化が進んでいます。

ここで後者のような不人気物件と一般媒介との相性の悪さの問題は出てきます。

というのも,宅地建物取引業法で「媒介の報酬額(仲介手数料)の上限が売却物件の価額の率で定められている」のですが,不人気物件については概ね価格が極めて安く,且つ,売買にあたっての調査の手間や問題を抱えていることが多いため,なかなか不動産業者が手を伸ばしたがらないのが実情です。

(仲介手数料では調査費用・交通費・広告費を賄えず完全に赤字のケースも…ザラにあります)

そのような時に複数の不動産業者に依頼する一般媒介契約は,①報告義務がない②レインズ掲載義務がないなどの特徴と相まって・・・売主様からするとおすすめはできないと思います。

ホーム » 不動産コラム » 【一般媒介契約】売却を不動産業者に任せる場合(2)

しつこいセールスは行っておりません。お気軽にご相談ください。03-5324-2800受付時間10:00-20:00 [ 水曜定休]

ご相談フォーム クリックして簡単な入力でご相談