「好評分譲中!」でも【宅建業免許】がない!?
土地を何区画も区画割をして販売するには「宅地建物取引業免許」が必要
分譲地が完成していても宅建業の「免許が無い!?」
宅地や建物について自ら売買することを業として行う場合には,宅地建物取引業の免許を取得しなければなりません(宅地建物取引業法)。
しかし,この宅地建物取引業の免許,しばしば(?)免許の取得をし忘れることがあります・・。
宅地建物取引業の免許が必要な場合
- 「宅地又は建物について自ら売買又は交換することを業として行うこと」
- 「宅地又は建物について他人が売買、交換又は賃借するにつき、その代理若しくは媒介することを業として行うこと」
今回は「分譲地が完成しているのに宅建業の免許が無い!?」という事例について解説します。
宅建試験の学習をされている方は「本当にこのようなことがあるのか?」と思うかもしれませんが,実務では(しばしば)起こります。
※なお,令和の時代ではなく,ずーっと昔のお話です・・。
【実例】 分譲地や建売住宅が完成していても宅建業の「免許が無い!?」
車の行き違いも余裕の広々6m幅の道路。水道・排水に電気・ガスも完備。ハウスメーカーさんの注文住宅が似合うような真新しい20区画の分譲地には「好評分譲中」と書かれた真新しいのぼり旗が風になびいています。
しかし,このような真新しい最新分譲地であっても売主様(分譲主)が「宅建業の免許が無い!?」という事態はしばしばありました…。
※令和の時代のお話ではありません。
故意?過失? なぜ,このようなことがあるのか?
土地の分譲や建売分譲にあたって「宅建業免許の取得が遅れた」というパターンもありますが,このようなケースは「そもそも宅建業免許が必要なことを知らなかった」というパターンの方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
普段は宅地造成や戸建住宅建築を請負で行っている建設業者様などが,資材置き場や駐車場などで利用していた広めの土地を売却する際に「せっかくだから道路を通して区画割してあげよう」という話の始まりは善意で始まっていたりします。
(施工業者の方が手の空いている時期に工事を行っていたりするので,少し割安だったりと…。)
「えっ!?なんでウチが宅建の免許が必要なの?」
しかし,このパターン,どこかの段階で宅地建物取引業の免許が必要ということに気が付き,「えっ!?なんでうちが不動産屋の免許が必要なの?」となります。
どの段階で「宅建業免許が必要」ということに気が付くか?
宅地建物取引業の免許が必要なのでは・・
<分譲地完成の前>
- 分譲計画を相談した不動産業者(概ね販売も担当することになる)が指摘するケース
- 分譲にあたって事業融資を受ける場合,金融機関の担当の方が気付いて指摘をしてくれるケース
<分譲地完成の後>
- 分譲地の広告作成の段階で,不動産広告を普段から扱っている広告会社の担当の方が指摘してくれるケース
- お客様(家を建てる買主様)が現れていざ売買契約という段階で,客付け業者の宅地建物取引士が重要事項説明書作成にあたって気が付くというケース
分譲地や建売住宅の許可と宅地建物取引業の免許は別のお話
冗談のように思えるかもしれませんが,「好評分譲中!でも免許が無い」は実話ベースのお話です。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか?各行政の許認可を得て分譲地などが完成しているというのに。
- 公営水道が各宅地ごとに引かれている
- 道路位置指定がなされている
- 開発行為の許可が下り検査も終わっている
- 新築の戸建住宅が出来上がっている
以上の許認可が得られること,「宅地又は建物について自ら売買又は交換することを業として行うこと」ができる宅地建物取引業の免許の取得とは本来,何の関係もありません。
それぞれの行政(担当部門など)は縦割りになっています。
「ウチの部門とは関係ないのですが,関連してこのような許可が必要になる可能性がありますので,あちらの部門にも確認してみると良いですよ」と教えてくださる行政の方もいますが,あくまでも親切がベースでしょうか。
結果として,分譲地に必要な許認可はすべてそろっており,20区画程度の分譲地が完全に出来上がっている。しかし「宅建業の免許がないので販売をしたら無免許営業になる」といった冗談のような状態が起こりえるのです。
「不動産屋に仲介を任せるから大丈夫!」
また,自ら分譲地を作って売っても「販売(仲介)を不動産屋に依頼するから大丈夫!」という場合がありますがお気を付けください。
上記のような分譲地を造成し売却をすることは,たとえ宅建業免許がある不動産業者に販売(売買の媒介)依頼しても,宅建業の免許が必要なケースに該当するはずです。
宅地建物取引業の無免許営業の罰則について
宅地建物取引業の無免許の罰則
「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金若しくは両方」(宅建業法79条2項)
以上が無免許事業の罰則です。
宅地や建物といった不動産取引を規制する「宅地建物取引業法」という法律の中で,無免許事業は最も重い罰則となります。
まとまった量の不動産の売却の際は,不動産業者や宅建業免許申請を行う行政書士にご相談を
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